理想の家をつくるには

こんにちは。スタッフの岡部です。


なんとか無事に第一期の法人決算申告が終わり、少し肩の荷が下りた今日この頃です。
あっという間の梅雨明けと共に連日暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?


では、今回のテーマはこちら。


「理想の家とは何か、を共有しよう」


今やスマホ一台あればいつでもどこでも簡単に情報が手に入る時代です。
家づくりに悩むお客様が様々な情報に触れられるように、私たち住宅会社側もそんなお客様の悩みを身近に目にすることができるようになりました。

インスタグラムなどのSNSも「こんなハズじゃなかった!」とか「これだけは辞めておけ!」とか「こんな住宅会社には要注意!」などなど…。
真偽はともかく様々な情報で溢れています。


そんな中で「こんなハズじゃなかった!思っていたのと違う!」という問題については、誰かに悪気があるとか誰かがミスをしたとか、そういったことだけが原因ではないと思っています。

では、なぜお客様の想像と違うものが出来上がるのか。
それは、頭の中でイメージしているものが全員違うからかもしれません。


新築もリフォームも、建築というのは基本的に伝言ゲームのように工事が進んでいきます。
お客様から営業担当や設計者へ、その次に現場監督へ、そして職人さんへ。
弊社のような小規模な会社はそもそも人数が少ないので、お客様~職人さんの間に入る数は少数ですが、大きな会社になればなるほど伝言ゲームの参加者は多くなります。


例えば塗装の仕事があったとき、お客様から「色は白で!」と指示があったとします。
そうすると、住宅会社側から職人さんへ「白」と伝言が伝えられます。
職人さんは指示通り「白」を塗ります。

そして後日、確認のため現場に訪れたお客様がその「白」を目にしたとき…

思ってたんと違う!

となる可能性は十分にあります。


それはなぜか。
それぞれの頭の中に浮かんだ「白」のイメージが違うからです。

白ってどこからどこまででしょうか?
グレーと白との境目は??
アイボリーは白の仲間???

「白ってな、200色あんねん。」と誰かが言っていました。

どこまでを白と認識するのか、それが人によって違うのです。


実際のところ、塗装に関してはそういった事態を避けるため事前に色見本を使ってお客様とイメージを合致させていくのですが、色はその面積が大きくなるにつれて更に明るく感じたり暗く感じたりするので、イメージ違いが発生する可能性もゼロではありません。

イメージの擦り合わせをしやすい色ですらイメージ違いが発生するならば、家全体の雰囲気なんてものになると、そういった食い違いが起きる可能性はさらに増加します。


そんな事態を引き起こさないため、住宅会社側も事前にパース(完成した建物のイメージ図)を利用するなどしてお客様との擦り合わせは行っていきますが、そこで感じた小さな違和感を放置していくと、そのズレはどんどん大きくなってしまうかもしれません。


では、どうしたらその食い違いを無くすことができるのか。
それは、細かすぎるくらいに指示や要望を私たちに伝えていただく、ということが重要になります。

あんまり細かいことを何度も言うと迷惑がられるんじゃないか。
うるさい客だと思われて、機嫌を損ねて手を抜かれたりしたらどうしよう。

そんな心配から、なかなか思いを住宅会社側に伝えられない、というようなことも目にします。


ですが、そんなことを気にする必要は全くありません。
それを迷惑がったり、ましてや手を抜くなんてことをする住宅会社が完全に間違っています。
お客様の理想をお伺いし、汲み取り、それを形にしていくのが私たちの仕事です。

お客様が、お客様のお金で、お客様の人生のために建てる家です。
住宅会社側の作品ではありません。

私が私の家にこだわって何が悪い、と堂々としていてください。


もちろん工事が先に進んでしまってから、「実はあの時言えなかったんですけど…」と切り出されると困ってしまうタイミングというのは存在します。
そうならないために住宅会社側も事前に決定までの期限をお伝えしていることがほとんどだとは思いますが、「何となく担当との会話がかみ合っていないような気がする。」「ちゃんと伝わっているか不安。」など、どんなに些細なことであっても、違和感を感じたことに関してはできるだけすぐにお伝えいただくのが良いかと思います。


お客様、私たち住宅会社、職人さん。
それぞれの頭の中に思い描いているイメージの微妙な食い違いが、なんか違うの原因。

ならば、お客様自身に選んでもらえればそこにズレは生じないから安心!

…果たしてそうでしょうか?


外壁の色や内部のクロスを決定していく段階など、お客様自身が直接カタログやサンプルを見て製品を選ぶ機会があるかと思います。
お客様が自分で気に入ったものを選んだのだから、思い描いていた通りのものが完成するはず。

ですが、実際はどうかというと、ご自身で選んだものでもなんか違うは発生します。
マネキンが着ている服が素敵に見えて買ったものの、いざ自分が着るとアレ?ってなるやつと一緒です。

たくさんの施工事例やサンプルの中から吟味して選んだとしても、実際に自分の家に当てはめたときにそのイメージ通りになるかというと、必ずしもそうとは限りません。
窓から見える景色やそこから入る光の加減、床や壁との面積の比率など、様々な要因でその印象は大きく変わることがあります。


そんなこと客にわかるかい!というのはごもっともです。
そこで私たちの出番です。


この住宅の写真が気に入っている、こんな雰囲気が好き。
という素材があった場合、まずはその好きはその写真のどこに強く反応しているのかを分析してみてください。

光と影の感じなのか、目線が奥に抜ける感じなのか、はたまた色使いなのか、素材感なのか…。
好きを具体的に分析していくことで、イメージ通りの理想へと近づくヒントになります。

そして、その情報を私たち住宅会社の人間に共有してください。

ああ、こういうことを言いたかったのか!
このイメージを実現するには、こういった手段もあるから提案してみよう!
といった形で、私たちからの発信もしやすくなります。

自分が具体的にどこに惹かれているのかがわかってくると、同じサンプル帳でも最初とは選ぶ基準が変わってくるかもしれません。


自分の家でここにこんな感じのものを使った場合、この写真のような立体感は出るか?とか、気に入った色を使ったとき全体のバランスは取れているか?など。

そういったことは、ある程度は建築ソフトを使ってのシュミレーションもすることができます。
一見すると細かい、全体からみれば些細に感じるようなことが理想の家づくりの肝になっていることもあります。


私はCAD(キャド)という建築ソフトを使って図面を描いたりパースを作ったりしているのですが、パースを作る際、お客様がどんな方なのか色々と聞きながら作成をしています。

どういう系統の家が好みかはもちろん、例えばどんな車に乗っているのか、どんな服装?髪型?家族構成は?好きな色は?趣味やこだわりは?インドア?アウトドア?几帳面?おおらか?普段のLINEのやりとりの文面はどんな感じ?など…。

小学生のとき、クラスの女子生徒が配って歩いていたプロフィール帳に書いてあったことと同じようなことを私も知りたがります。

お客様からすればちょっと気持ち悪いかもしれませんが、どんな人がどんな家でどんな生活をすることを理想としているのか、というイメージが湧かないとなかなか作業が進まないのです。


一般的に私たち住宅会社の人間がお客様と密に関わりを持つことができる期間は、新築や大規模なリフォームであっても1年程度です。
その限られた時間の中で、お客様がどんな人なのか、どんな理想を家に持っているのかをお伺いし、できるだけ多く共有したいと思っています。


どこをどうしたいか?どんな完成形を思い描いているか?
頭の中のイメージを擦り合わせていくというのは、言語化するのもなかなか難しく時間もかかる作業です。

人それぞれ何が好きか、何が良い家かは全く違います。
スムーズに打合せが進まないこともあるかもしれません。

ですが、だからこそ。

心折れずに私はこれが好きなんだ、ということをどんどん私たちに伝えていただきたいと思います。
直接家づくりに関係のないようなことでも、そこに思わぬヒントがあったりもします。

新築も、リフォームも。
お客様の好きが詰まった家を作っていきましょう。


ではまた次回!