高気密・高断熱住宅とは①
こんにちは。スタッフの岡部です。
さて、それでは早速ですが、今回のテーマはこちら。
「高気密・高断熱住宅って何?」
新築住宅を手掛ける会社のホームページや広告でよく目にするこの言葉。
何をもって高気密なのか、どこから高断熱なのか。
皆さまご存じでしょうか?
これ、実は決まった定義はありません。
住宅会社側が高気密だと言うのなら、壁に大穴が開いていても高気密であり、この断熱材は私の情熱がこもっていて暖かいんですよ!と営業マンが言うのなら、その断熱材の厚さが1mmでも高断熱住宅になります。
では、なぜ住宅会社はそんな根拠のない言葉を使っているのかというと、
・気密、断熱性能にこだわっていて、具体的な性能数値の良さを売りにしているから。
・響きが良いから。
おそらくこのどちらかです。
ですので、高気密・高断熱住宅であることをアピールしている割には何の具体的数値も示してこない営業マンは、どんなに情熱的であっても少し疑いの眼差しを向けたほうが良いかもしれません。
さて、ならばおたくの会社はどうなんだ?という話ですが、当社では気密性能いくら!断熱等級〇以上!といった仕様設定は設けておりません。
疑いの眼差しを向けておられる方、説明をさせてください。
まずは大前提、「気密」「断熱」って何?というところから。
・気密性能:建物に、外と繋がる隙間がどれくらいあるか。(換気扇などの意図的に開けた穴は除く)
・断熱性能:建物が、外気温の暑い・寒いにどれくらい影響を受けるか。
気密性能は「C値」といった言葉で表されます。
よく住宅会社の広告にC値0.〇〇!とか書かれているアレです。
このC値の数字がゼロに近いほど、建物の隙間が少ない=気密性能が高いということです。
一般的に高気密住宅と呼ばれる基準としては、C値が1.0㎠/㎡以下と言われていますが、最近ではC値0.5㎠/㎡以下をアピールしている住宅会社も多くあります。
さて、大人になると抵抗感が出てくる㎠/㎡という単位。安心してください、私もです。
そんな方にこれがどれくらいの大きさかをご説明しますと、縦1m×横1mの範囲に縦1㎝×横1㎝の穴が開いているということです。
例えば、延床面積40坪(132㎡)でC値が1.0㎠/㎡の建物の場合、家中の小さな隙間を全部集めて合体させると132㎠の大きさになります。
ハガキ1枚の面積が148㎠なので、家1軒の中にハガキ約1枚分の隙間があるということになります。
そう考えると結構大きいですよね。
では、隙間の大体の大きさがイメージができたところで、次。
そもそもなんで穴空いてんのよ、と。
家を家たらしめるためには様々な部材を組み合わせる必要があります。
その過程で、例えば床と壁の接合部であったり、設備配管の穴であったり、コンセント周りであったり、そういった所にどうしてもほんのわずかな隙間というのは生まれてしまいます。
そこでひっそり生まれた隙間を見逃さず、きっちりとその隙間を埋める処理をするのが気密処理と言われる作業です。
この一見地味な作業の気密処理、これをしないとどうなるのか。
ご想像の通り、外と室内の空気が入り乱れ、冷暖房は効きづらいわ結露はするわで家主の一切のコントロールを受け付けません。
大切なマイホームが、まるで反抗期の子どものよう。
ならば、隙間が限りなくゼロになるようにきっちりピッチリふさいだら良いのね!
でもちょっと待って。そんなに隙間をふさいだら、なんだか家の中が息苦しそう。
そう思われるお気持ちはわかります。
ですがご安心ください。
そこでご紹介するのがコチラ、24時間換気システム。
機械(または自然給気)で外からの新鮮な空気を室内に取り入れ、室内の汚れた空気は機械で外へ排出してくれる優れもの!
ピッチリ隙間をふさいで空気の流れを遮断して、そのあと機械を設置して、それを通して空気を入れ替える?
え?なぜわざわざそんなことを?ってお思いでしょう。
でも、これが大切なんです。
皆さま、いわゆる古民家と呼ばれるような古い昔ながらの日本家屋を想像してください。
柱も梁(はり)も全部むき出し。田の字型に畳の部屋が繋がっていて、その境目に壁らしい壁は無く、ふすまか障子。
そういった昔の家は主に何を重視して作られていたのかというと、夏の快適性と家自体の耐久性です。
夏をどう涼しく過ごすか、柱や梁といった家を支える構造体をいかに傷ませないようにするか、そこに重点が置かれていました。
木材は乾燥させることによって強度を増します。
高温多湿の日本で家を傷ませる原因となる湿気を逃がし、柱や梁が水に濡れてしまってもすぐに乾くことができる環境を保つ。
そのためには、とにもかくにも家の中を風が通り抜けられるよう通気優先。
冬の寒さはたくさん着込んで火をおこせば何とかなる!
そんな時代の建物です。
構造体がむき出しなのでメンテナンスもしやすく、それはそれで理にかなっていたのですが、昭和に発生したオイルショックなどの影響でこれまでのように気軽に燃料が使えなくなり、冬の寒さに耐えるため、家の断熱という概念が生まれます。
これまでの通気優先の考え方から、冬の寒さに影響されない家づくりが求められるようになってきました。
家を長持ちさせるためには通気が必要。
しかし、家(人)を寒さから守るためには断熱が必要。
この相反するふたつの要素をいかに両立させるか。
当然その過程には、新築間もない家がキノコだらけになるなどの苦い失敗もありました。
それでも試行錯誤しながら進化してきたのが、現在の高気密・高断熱住宅です。
次回に続きます。